2023年の秋頃、WEBライターとして独立することを夢見ていた僕ですが、当時はまったく収入が無く、貯金が1円も無かったため生活に困っていました。
両親からの支援も底をつき、消費者金融からの借入限度額もとっくに天井を迎えてしまった僕は、「いよいよマズイ」「とにかくバイト探さなきゃ」と焦燥感に駆られます。
そんななか、求人サイトを眺めていた僕の目に飛び込んできたのは「日給1万円超え!ラブホテルの深夜スタッフ募集」の求人。僕は迷うことなく「応募する」のボタンをタップしました。
このときはまだ、ラブホの深夜バイトがこんなにもキツイとは思ってもいませんでした…
【体験談】深夜ラブホバイトのイメージと勤務開始まで
求人応募を済ませた後、簡単にラブホの仕事内容を調べました。
「夜勤は暇で寝てるだけ」「掃除は慣れれば作業」「空き時間で好きなことができる」、これを見た瞬間、僕はスキマ時間でライターの仕事できるじゃん!と思いました。
寝真面目なんだか不真面目なんだかわからないですが、良い方向ばかりに想像が膨らんでしまって、はやく働きたいなあと面接日を楽しみに待っていました。
迎えた面接日、即日採用でウハウハな僕
アルバイト先のラブホは、家から車で20分くらいの場所に位置しており、街中からは離れた郊外にありました。主要道路から脇道に逸れ、やけに暗くて車通りが少ない道路をしばらく走ると、そこに突如として現れた高級感あふれる建物。
はじめて来たときはめちゃくちゃワクワクしたことを覚えています。
車を降り、どこから入ったらよいかわからない入口をくぐると、すぐにフロントが。「すみません、本日面接で来たかなめです」と伝え、裏の事務所へ通されました。
事務所に入るとすぐに面接が始まりました。色々な質問をされるかと思いきや、「ふ〜ん、元国家公務員なんだ、優秀そうだね。ウチいま夜勤のフロントスタッフ足りてないんだけど週3以上入れる?」と、あまりにテンポが良すぎる。
はい!週5で入りたいと考えてます!と答えたのも束の間、「あ~ウチ夜勤はワンオペだから週4でも良い?」と告げられ、”ワンオペ”に少し引っかかりもしたものの「はい!是非!」と熱い握手を交わし、この日は簡単な説明を受けて帰宅しました。
早速キツイんだけど…怖すぎる先輩スタッフの指導
そして迎えた初ラブホ出勤。
アルバイトや社会人経験は割と数をこなしているものの、やはり初出勤はドキドキします。
普段、深夜帯のシフトに入っている男性の先輩スタッフAさんが研修担当をしてくれることに。Aさんはぱっと見で20代後半〜30代前半のお兄ちゃんで、さわやかな風貌。「説明しながら進めるので、今日はメモ取りながら見てるだけでいいですよ」と優しく声をかけてくれました。
「優しそうな先輩だな〜」と安心し、夜の24時から翌日9時までメモを取りつつ、ひたすら先輩の説明を受ける僕。初めての夜勤を経験して「めちゃくちゃ眠いな」と思いながら、バイト初日を終えました。
同じように2日目も一通りの説明を受けながらメモを繰り返し、終了。
問題は3日目からでした。
「説明しましたよね?」あまりに高圧的な態度に変貌を遂げた先輩スタッフ
深夜ラブホバイト3日目。
この日から実際に自分でメモを見ながら業務を進めることに。
フロントの掃除やモーニングメニューの仕込みなど、簡単な業務はメモを見ながらなんとかこなしていきましたが、なかでも日報作成の業務があまりに難しい。
レジで発行するジャーナル(1日の売上一覧のようなもの)や1日を通して集計する表を見ながら、用意されたシートに数字を記載していくのですが、転記する箇所が膨大だったり、電卓を叩いて計算する箇所があったりと、さすがに初見では難しすぎました。
集計を誤るわけにもいかないので、「ここってどの数字を記載すれば良いのでしょうか?」と聞いた途端、
「1日目も2日目もちゃんと説明しましたよね?メモ見ながらやってください」
と真顔で言ってくるもんだから非常に面喰いました。
ん~~~~~~~~~~いやそうだけど!そうだけど、初見プレイじゃわからないこともあるじゃない…
過去を振り返っても、人に高圧的な態度を正面から取られたことはなかったので、その初めの経験に「はい」としか言い返せなくなってしまいました。とりあえずやってみるしかないと思い、なんとかシートを完成させ、先輩に確認をしてもらうことに。
「こことここが違うし、この箇所の記載が漏れています。やり直してください」
と言われ、自分のメモに抜けがあったようなので、すみませんがもう一度教えてくださいと伝えると、「はあ(クソ長溜息)今日は僕がやっておきます、時間もないので」と。
そこで店長が出勤し、Aさんと「かなめ君はどう?」と話しているのが聞こえてきました。「めちゃくちゃ優秀ですよ、もうワンオペできます」とAさんの声。
なんだよそれ?!さっきまでのソレはなんだったんだよ!!
ああ、虚しい。
当時23歳。この歳でここまで泣きそうになったのははじめてでした。いや、帰りの車では泣きました。
そんなこんなで一人立ちさせられ…
そんなこんなで一人立ちすることとなってしまった僕。
一連の業務の流れはなんとか覚えたものの、まだ右も左もわからない状態。
深夜のワンオペとなると、困ったときに聞けるスタッフがいないことに加え、バイト先のラブホにはいわゆる「こういう時はこう対応して」のようなマニュアルが存在しません。
つまり、この時点で教わってないことが起こったら”詰み”なのです。
何かあったら電話してねと店長は言うものの、「普通に夜は寝てるよ」と以前聞いていたこともあったので、「いやそれじゃ電話できねーよ、どうすんだよマジで…」と絶望しました。
ここから毎日、ストレスと戦う日々が始まります。
深夜ラブホってどんな仕事をするの?
さて、前置きは長くなりましたが、私が実際にやっていた業務を紹介します。役職は、ワンオペのフロントスタッフでした。
※部屋のガチ掃除は朝来る清掃担当がやります。それまでの前準備をするようなイメージです。
意外と多いですか?
不定期で来るオーダーメニューや来客、問い合わせ対応をしながら、ルーティン業務をこなしていく流れです。
深夜のラブホバイトは何がキツかった?
僕が深夜のラブホバイトをしていたときにキツかった点を4つ紹介します。
料理や掃除までマルチにこなすワンオペのフロントスタッフという、あまりみないタイプのバイトですが、参考になる部分はあるかと思います。
キツいその1:緊急時にすぐ頼れる人がいない
なんだかんだ「対処できないトラブルが起きたらどうしよう」という不安が常にあるのが、ラブホバイトで一番キツかったかもしれません。
想像の通り、ワンオペなので対処したことがない状況になった瞬間詰みます。誰も教えてくれる人はいないし、深夜だから起きている同僚もいないし。
とはいえ、実際に僕がバイトしてる期間は意外とトラブルは発生しませんでした。
けれど、部屋が満室のタイミングで「エアコンが効かない。部屋を好感してくれ」だとか「トイレの詰まりが治らない」。極めつけは、泣いてる女性から「彼氏が浮気していた。先に帰らせてほしい」などの小トラブルはしばしば。
うるせええええ!!!知らねえよ!!!
という気持ちに駆られながら「すみません〜わかる者が来たら対処しますので〜」というパワーワードで何とか乗り切っていました。
バイト先のルールでは、片方が先に退出する場合は、料金未払いや男女トラブルに巻き込まれるリスク防止のため、あらかじめ残る人に確認を取らねばならなかったためです。
アタマをフル回転させた結果、「わかりました。では、彼氏に先に帰る旨を記した置手紙を書いて、同じようにLINEにもメッセージを入れてください」と伝え、女性にペンを渡しました。その後、部屋に彼氏がいるかの確認と置手紙を置きに行くので、一緒に部屋まで行きましょう」と告げ、僕たちは男性が寝ている部屋に向かいました。
物音を立てないようにそっと扉を開け、「くつもある、いびきも聞こえる。確かにいるな」と確認したあと、女性には「タクシーを呼んでおいたので気をつけて帰ってくださいね」と帰らせました。
その日は結局トラブルも起こらずに退勤できたので良かったですが、探偵のような動きをしてさすがに疲れたことを覚えています。
キツいその2:料理オーダーが連チャンで来たら詰み
ラブホにもよると思いますが、僕のバイト先はメニューをイチから作ってました。
「ラブホってチンして出すだけじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、運悪く僕が入社したバイト先はイチから手作りをするタイプのお店でした。
基本的に1部屋からの注文は男女2人分=2料理なので、これがとにかく大変。キッチンスペースも限られているので、料理が冷めないようになるべく同時に完成させなければなりません。
オムライス+ペペロンチーノのような組み合わせであれば、工程も少なく比較的楽なのですが、鉄板ステーキ×2の組み合わせなんかは最悪でした。一度に使えるガス口が3つしかないにもかかわらず、肉を焼きながら同時に鉄板を温める必要があり、物理的にガス口が足りないのです。
1組分の料理を作るだけならさしたる問題ではありません。本当にキツいのは、2組同時にオーダーが来たときです。1組の料理を作るのに平均して30〜40分かかるのに、2組連続で作ったら平気で1時間半くらい溶けます。
こんななかお客さんが来店した暁には、もうたまったもんじゃありません。
キツいその3:モーニングの時間に来店orメニュー注文がキツすぎる
モーニングの時間に来客や新規オーダー注文があったときも、キツかったです。
モーニングは30分おきに各部屋に料理を届けなければならないし、同時に2〜3組分を作らなくてはならないため、モーニングの時間はずっと動きっぱなしです。モーニングセットの料理自体は簡単なのですが、スイスイ作れても客室に届けられるのはギリギリの時間。
つまり、モーニングの対応中に他のタスクが発生した瞬間、”詰み”なのです。
しかも意外と朝って謎に老夫婦がぞろっと来客するもんだから、たまげます。なんでも、広い部屋で大きいテレビが見れるのが快適なんだそうです。
キツいその4:普通にストレスでしんどかった
オーダー、問い合わせ、来店。これらが発生するときは何かしら音が鳴ります。
オーダーであれば事務所の通知音、問い合わせであればコール音、来店であればテロレンテロレンテロレン…
これらの音が鳴るだけで、僕は吐き気がするようになってしまいました。
また、「トラブルが起きたらどうしよう」と常に悪い想像ばかりしていたものですから、常に胃やお腹がキリキリ。出勤後すぐにトイレに駆け込み、お腹を下したところからバイトがスタートしていました。
バイトをやめるまで、上記の状態が続いていましたね。
それでも深夜のラブホバイトはメリットもある
ここまでラブホのキツい点ばかりを羅列してきましたが、それでも深夜のラブホでバイトするメリットはあると思います。
メリット1.やっぱり時給は高い
深夜手当込みで日給1万円前後になることがザラなので、やはり手軽に稼げるという点ではメリットです。夜勤バイトですぐに浮かぶコンビニと比較しても、お給料や業務の楽さはラブホの方が勝っていると思います。
楽なラブホでバイトできれば、なおさら恩恵は高まりますね。
ただし、夜更かしに慣れていた僕ですら常に調子を崩していたし(ストレスもありますが)、誰もが体調に支障をきたす可能性がある点は注意です。
メリット2.慣れれば自分の時間をたくさん作れる
忙しそうに見える僕のバイト先ですが、それでも慣れれば自分の時間をたくさん作れるというのも事実です。
忙しすぎて30分も休めない日もありましたが、それは手で数えるほど。勤務時間9時間のうち、平均して2〜4時間程度は自由に過ごせる時間がありました。忙しくない店舗であれば、更に自由時間を作れるでしょう。
僕はこの時間にライター業に取り掛かっていました。
私のようにPCやスマホで仕事ができる人にとっては、空き時間を使って副業できるためある意味理想の環境といえますね。
メリット3.マルチタスクの練習になる
バイト先にもよりますが、僕のように忙しい店舗で働く場合では、マルチタスクの練習になります。
自分の時間を作るべく、ルーティン業務は同時並行でこなし、オーダーが来た時もいかに効率的に進めるか頭をフル回転させます。効率に重きを置いた結果、「このままオーダーが来なければあと4時間も自由時間が?!」ということもよくありました。
マルチタスクが苦手な僕でも働けたので、逆に得意な方はたとえワンオペだろうと何の問題なくラブホで働いていけると思います。
楽な夜勤ラブホを探すポイント
僕が働いていたラブホは都市の郊外にあったこともあり、繁盛していた店舗でした。
その点を踏まえ、「今だからわかる、楽にバイトできるラブホの探し方」を伝授します。
主要道路や高速道路の出入口に近いラブホは避ける
主要道路沿いや高速道路の出入口に近いラブホは、利用者が多いため避けることがポイントです。
ラブホはカップルだけでなく、長時間の運転で疲れた人や旅の行先の休憩で利用する人も多いため、お店への行きやすさが客の多さに比例しているのです。
「わざわざ車でここまで来るか?」「そもそも周辺に人があまり住んでいない」というラブホを狙って応募すれば、快適な深夜バイト生活が送れるでしょう。
フロントスタッフは選ばない
フロントスタッフではなく、清掃スタッフを選ぶようにしましょう。
店舗によってはフロントと清掃をどちらもやるケースもありますが、一般的なラブホであれば分担されています。
フロントは来客したら対応する、電話が来たら対応する、オーダーが来たら対応する…と、日によっては激務になることもあります。一方、清掃スタッフであれば、客が帰ったら掃除をこなすの繰り返しなので、フロントほど臨機応変という訳ではありません。
あまりに田舎すぎるラブホの場合は、たとえフロントと清掃を兼用しようとそれでも暇なので、あまりこだわらなくて良いですね。
まとめ:ラブホはお店によってはキツい!けど時間も作れて充実する!
繁盛しているラブホは深夜でも激務でキツいこともありますが、普通では経験できないような場面に出くわす仕事です。また、空き時間を活用して副業や勉強などに充てるというのも、非常に魅力的。
体調を崩してしまいましたが、今思えば楽しかったなとも思います。
社会人をやめてバイトを探してる、副業を探しているという方は、せっかくの機会なので深夜ラブホに応募してみてはいかがでしょうか。
もしあなたが体験した面白いラブホ話があったら、XでDMください。